韓国の美しい包む文化

韓国のどんなところが好きですか。と聞かれるといちばんに思い浮かべることがあります。

包む文化です。

日本に風呂敷や袱紗(ふくさ)などの包む文化が生まれたように、韓国にも風呂敷の文化があります。
果物やお肉、スパムなど名節では定番の贈答品もポジャギという美しい風呂敷で包み、ノリゲという装飾を添えて贈ったりしますよね。
韓国の工芸がお好きな方でしたら、包むというとポジャギ(チョガッポ)を思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ポジャギは現代ではインテリアとして楽しまれる方が多いと思いますが、
元々朝鮮時代に針仕事を日常的に行なっていた女性が衣類を縫った余り布を集めて、どんな端切れも無駄にしないというもったいないの精神から生まれた布工芸でした。
ポジャギには『福を包む』という意味が込められていて、包むことによって幸福がもたらされると言われています。
また布片をパッチワークのように繋げていくチョガッポには長寿の願いも込められているのだそう。

好きが高じてチョガッポに挑戦。ひと針ひと針 糸を刺していく地道な作業は、気の遠くなるような見た目以上に忍耐力の要る作業です。

私が好きで良く通うソウルのとあるギャラリーでは幾重にも重ねた韓紙で器を包み、その上からオーガンジーのポジャギで包んで端をきゅっと結び、ちょっと待ってねっと軒先の草花を摘んで最後に香りと一緒に添えて下さいます。
自分で求めたものなので中身はもちろん知っているのですが、荷を解く時も胸が高鳴り、包みの淡い色合いのグラデーションにもはっとするのです。

大好きな仁寺洞の小さなギャラリー工芸 長生壺

ポジャギの四つ端を花のように飾り結びして下さったり、即興で可愛らしい刺繍をして下さるギャラリーもありました。
またある時は筆の練習をされていたのでしょうか、達筆な筆使いで書かれた長半紙にくるくるっと巻いて渡して下さった粋な店主もいました。

現在は安国から玉仁洞に移転したギャラリー 日常餘百

新聞紙や黒いビニール袋も韓国らしくて好きだけれど、こうした美しいおもてなしの心に触れると旅の思い出もぐっと特別なものになりますし、学ぶことがたくさんあるなぁと感じます。

ものを大切に包むことは、贈る側もまたいただく側も気持ちが良いもの。

普段の暮らしを少しだけ、丁寧にしている気持ちにもなります。

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